秋も深まり、肌寒さが少しずつ増してきた11月初旬の関東。
久しぶりの休日、私は気分転換の行き先を探していた。
前夜、Twitterのタイムラインを眺めていると、真岡鐵道の看板列車「SLもおか」の補機にDE10が充当されているという情報が目に留まった。かつてはJR東日本のDE10を追い回していた私だが、最近はすっかりご無沙汰だった。
SLにいたっては、数年前に大井川で乗って以来だ。
「DLやSLが牽く客車に久しぶりに乗りたい!」
そう思い立ち、私は真岡へと向かうことを決めた。
翌朝、まだ暗い4時過ぎに起床。身体が覚えてしまった始発列車に乗り込む。
外気温は一桁。車内の暖房が冷えた身体をやさしく包み込む。上野から東北線、水戸線を経由して下館を目指す道中、驚くほど深く眠り込んでしまった。無事に現着できたのは、もはや幸運というほかない。
下館でフリーパスを購入し、まずは真岡駅へ。入換作業や点検を見学したのち、下館への送り込み回送をカメラに収めることができた。撮影を終え、私も下館へと戻り、いよいよ「SLもおか」の客車へと足を踏み入れる。
高らかな警笛とともに、客車特有の衝撃が身体を突き抜けた。
ほぼ満席の車内。深まりゆく秋の景色を車窓に映しながら、列車は終着・茂木を目指す。
最後尾のDE10には二人の機関士が乗務していたが、SLは彼らの手助けを借りるまでもなく、力強く快走を続けた。
益子を過ぎるころには、車内は一人一ボックスを使えるほどのゆとりが生まれていた。はしゃぎ回る子供、酒を楽しむおじさま、そしてぼーっと車窓を眺める私。そんな混沌とした時間さえも、旅の醍醐味だと思えた。
茂木に到着後、街歩きと食事に夢中になるあまり、発車前の入換作業があることを失念していた。慌てて戻ると、作業は想像以上にシビアで手際よく進んでいく。そのスピードに追いつき、記録を残すだけで精一杯だった。
しかし、その慌ただしさの中で、この日一番の瞬間が訪れた。
大きく振られる手旗。
ゆっくりと、力強く動き出す DE10。
それは、人の営みと鉄の鼓動が重なった。